上村から、絵本版の最初の案が出てくる。ここで、詩的なアートブック作品の底に流れていたテーマや上村の思いが、ひとつづきの物語となって、多くの人に伝わるものとなって表面に現れてきた。コアな読者だけでなく、広い読者に伝わるものへ。作者の自己表現としてのアートブックから、読者を見すえた絵本へと変化し始めたと言える。
薄いクリーム色の紙に描かれたラフスケッチに、物語が書き込まれている。
その絵をコピーしたものを、松田が、綴じてめくれるものにする。絵本というのは、一枚一枚の絵ではなく、ページを繰りながら流れと共に表現するものなので、こうして綴じてみることで全体の流れを把握し、ページをめくる効果や整合性を具体的にチェックする。
その後、次回の打ち合わせまでに、文章についても、いくつかの整合性や、さらなる深さを表現して欲しいところなどを細かくチェックしていく。
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